「ChatGPTやClaudeは聞いたことがある。でも、結局うちのEC業務では何に使えばいいのか分からない」――この感覚を持っている経営者は多いはずです。

AIツールは毎月のように増えています。文章を書くもの、画像を作るもの、検索に強いもの、社内資料を読ませるもの、業務フローを自動化するもの。名前は聞いたことがあっても、自社のどの業務に効くのかまで整理しにくいものです。

本記事では、EC事業者が知っておくべきAIツールを10個に絞り、業務カテゴリ別に整理します。大事なのは、10個全部を入れることではありません。自社の業務で一番詰まっている場所に、まず1つ入れてみることです。なお、本記事は2026年6月時点の概算で、月額・プラン構成は変動します。最終的な料金は各ツール公式でご確認ください。

CONTENTS
  1. 大前提:「10個全部使う」ではなく「業務に効く順に1つずつ」
  2. カテゴリ①:文章・コンテンツ生成系(3ツール)
  3. カテゴリ②:情報収集・分析系(2ツール)
  4. カテゴリ③:画像・デザイン系(2ツール)
  5. カテゴリ④:業務組み立て系(3ツール)
  6. 図解:EC業務 × AIツール マトリクス
  7. EC事業者の優先順位(年商規模別)
  8. ツール選びより大事な3つのこと
  9. まとめ+次回予告

大前提:「10個全部使う」ではなく「業務に効く順に1つずつ」

AIツール選びで最もよくある失敗は、ツールから考えることです。「Claudeが良いらしい」「画像生成はMidjourneyが強いらしい」「Notion AIも便利らしい」――こうしてツールを増やすと、管理するものだけが増えます。

EC事業者が先に考えるべきなのは、業務です。EC事業者の業務は、おおむね7つに分けられます。

AIツールは、この業務のどこに入れるかで価値が決まります。ツール単体で成果が出るわけではありません。業務フローに組み込まれて初めて、時間削減や判断精度の向上につながります。 AIに任せる業務の見極め方は生成AIに任せていい仕事・任せてはいけない仕事を、Claudeの具体的な活用例はEC運営でClaudeにできること20選を参照してください。

カテゴリ①:文章・コンテンツ生成系(3ツール)

LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)と呼ばれる対話型AI。文章生成・要約・分類が主な用途です。

① Claude(クロード)
長文生成・PDF分析・コーディング支援が強み
月額目安:個人プラン約20ドル/月、法人プラン要問い合わせ(為替変動あり)
EC業務での使いどころ:
20万トークン超の長文脈処理ができ、月次レポートの集計や、商品説明文の一括リライトに向きます。詳しくは[EC事業者から見たClaudeの正直なメリット・デメリット](/blog/2026-05-27_claude-pros-cons-for-ec)で扱っています。
② ChatGPT(チャットGPT)
汎用性が最も高いLLM、画像生成も内蔵
月額目安:個人プラン約20ドル/月、法人プランは利用人数で変動
EC業務での使いどころ:
「何から始めるか分からない」場合、最初の1ツールとして非常に扱いやすい選択肢です。
③ Gemini(ジェミニ)
Google Workspace との連携が強み
月額目安:個人プラン約20ドル/月、法人プランは Google Workspace 契約に準拠
EC業務での使いどころ:
Google Workspace を既に使っているEC事業者なら、AIツールを新しく増やすというより、既存業務の中にAIを組み込む感覚で導入できます。

カテゴリ②:情報収集・分析系(2ツール)

最新情報の検索や、自社資料からの引用に強いツール群。

④ Perplexity(パープレキシティ)
リアルタイム検索+ソース表示、検索特化型AI
月額目安:個人プラン約20ドル/月、法人プラン要問い合わせ
EC業務での使いどころ:
ChatGPTやClaudeが「学習済み知識」で答えるのに対し、Perplexity は「いま検索して」答えます。出典が明示されるため、社内資料への引用にも使えます。
⑤ NotebookLM(ノートブックLM)
自社資料のRAG、社内ナレッジ検索特化
月額目安:個人プランは基本無料、法人プラン要問い合わせ
EC業務での使いどころ:
RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)型ツールで、自社の資料範囲内で質問応答します。情報漏洩リスクへの備えは[ClaudeをEC業務に使う前の懸念点](/blog/2026-05-29_claude-concerns-and-safeguards)も参考にしてください。

カテゴリ③:画像・デザイン系(2ツール)

販促画像・SNS素材の制作を支援するビジュアル系AI。

⑥ Midjourney(ミッドジャーニー)
高品質な画像生成、世界観・コンセプトアートに強み
月額目安:個人プラン約10〜60ドル/月(プラン段階あり)
EC業務での使いどころ:
注意:実商品の写真ではなく、世界観を伝える素材に向きます。商品仕様と異なる画像をそのまま掲載すると顧客誤認につながるため、商品画像は実物を使うのが基本です。
⑦ Canva AI(キャンバAI)
バナー・サムネ・SNS投稿を量産
月額目安:個人プラン約13ドル/月、法人プランは利用人数で変動
EC業務での使いどころ:
テンプレートが豊富で、デザイン未経験者でも使えます。特に月次セールや季節キャンペーンが多い企業では効果が出やすいです。

カテゴリ④:業務組み立て系(3ツール)

ドキュメント整理・自動化・SaaS連携など、業務フローを組み立てるツール群。

⑧ Notion AI(ノーション AI)
ドキュメント管理+AI、社内wiki構築
月額目安:Notion本体+AI追加料金で1人あたり月20〜30ドル前後
EC業務での使いどころ:
属人化した業務を整理したい企業に向いています。
⑨ Cursor/Claude Code(カーソル/クロード コード)
コーディング支援、Excel数式やスクリプト自動化
月額目安:Cursor 個人プラン約20ドル/月、Claude Code は Claude プランに準拠
EC業務での使いどころ:
注意:「エンジニアを雇うほどではないが、毎月の手作業を減らしたい」という場面で有効です。生成されたコードや計算式は必ず検証してください。数字に関わる処理をそのまま使うのは危険です。
⑩ Zapier/Make AI(ザピアー/メイク AI)
SaaS同士をつなぐワークフロー自動化+AI機能
月額目安:個人プラン約20〜30ドル/月、法人プランは利用ステップ数で変動
EC業務での使いどころ:
自動化は便利ですが、最初から大規模に組むと保守が大変です。まずは1つの業務だけ自動化するのが安全です。

図解:EC業務 × AIツール マトリクス

7つの業務カテゴリと10ツールの適合度を、1枚に整理しました。

EC業務 × AIツール 適合度マトリクス ツール \ 業務 商品 ページ 在庫 管理 レビュー 返信 顧客 対応 競合 分析 SNS 運用 財務 分析 ① Claude ② ChatGPT ③ Gemini ④ Perplexity ⑤ NotebookLM ⑥ Midjourney ⑦ Canva AI ⑧ Notion AI ⑨ Cursor / CC ⑩ Zapier / Make ※ ◎=強く向く、○=使える、△=他ツールが向く。あくまで一般的な傾向で、運用設計により評価は変動します。
▲ 10ツール × 7業務の適合度マップ。「全部使う」ではなく業務に効くものを選ぶ。

EC事業者の優先順位(年商規模別)

10ツールを一度に検討する必要はありません。年商規模で、最初に試すべき3つを絞り込みます。

年商 1〜3億円
まずは ① Claude/② ChatGPT/⑦ Canva AI の3つから
文章とビジュアルという「公開コンテンツの2軸」をAIで軽くするのが、最も効きやすい入口です。この規模では、ツールを増やすよりも「毎週使う業務を決める」ことが重要です。AI導入時の懸念点は[ClaudeをEC業務に使う前の懸念点](/blog/2026-05-29_claude-concerns-and-safeguards)を参考にしてください。
年商 3〜10億円
上記3つ+④ Perplexity/⑤ NotebookLM/⑩ Zapier・Make AI
組織が大きくなるほど、情報収集・ナレッジ蓄積・業務自動化の効果が増します。競合調査、社内ナレッジ、業務フロー自動化の3つが整うと、AI活用が個人技から組織運用へ進みます。ただし、社外秘や個人情報の扱いには細心の注意を。

ツール選びより大事な3つのこと

AIツールは便利です。しかし、ツールを導入するだけでは業務は変わりません。重要なのは、次の3つです。

① 任せる業務を決める──「Claudeでレビュー返信案を作る」のように、最初から1つの業務に絞る。複数業務を同時にAI化しようとすると、どれも中途半端になります。
② 検証する人を決める──AIの出力を「誰が・どこまで」確認するかをルール化する。誰も検証していないAI出力は、公開文章としては使えません。
③ 業務フローに組み込む──いつ・誰が・どのツールを使うかを、業務手順書レベルに落とし込む。手順に入らないAI活用は、属人化したまま消えていきます。

Claudeでレビュー返信案を作るだけなら簡単です。しかし、誰が確認するのか、どのトーンで直すのか、どこまで自動化してよいのかを決めなければ、公開文章としては使えません。EC事業者から見たClaudeの正直なメリット・デメリットでも触れた通り、AIは整理・下書き・分類に強い一方で、最終判断は人が持つべきです。

まとめ+次回予告

EC事業者が知っておくべきAIツールは、文章生成3/情報収集2/画像2/業務組立3の10種類。すべてを試す必要はなく、年商規模に応じた3〜6ツールから始めれば十分です。本質はツール選定ではなく、「業務の流れに組み込むこと」。AIツール単体では、時間も利益も生みません。誰がどの業務でどう使うかの運用設計が、成果を決めます。

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明日6/18は「AI導入を社内に浸透させる進め方」を扱います。ツール選定の次は、組織への浸透です。あわせてご覧ください。

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