EC事業者なら一度は、競合の商品ページを開いて、しばらくスクロールして、そのままブラウザを閉じた経験があるはずです。「うちのページと違うのは分かる。けれど、何がどう違うかをちゃんと整理する時間はない」——気になるのに体系的に比較できず、結局、自社ページの改善が手付かずになる。これがEC現場のリアルです。
本記事は、その競合ページ分析をClaudeでやってみた実録です。EC運営でClaudeにできること20選の項目07「競合商品ページの分析」を、実際に手を動かして詳しく見ていきます。先にお伝えすると、整理はAIが速い。ただし、「何を改善するか」の最終判断は人がする。 この役割分担が、競合分析を「眺めて終わり」から「自社の改善TODO」に変えます。
- ビフォー:競合分析が進まない3つの原因
- やってみた:Claudeに何を渡し、どう指示したか
- 検証:出力を、そのまま信じない
- アフター:比較表が「自社改善のTODO」になる
- 結局、自分でやるには
- まとめ
ビフォー:競合分析が進まない3つの原因
なぜ競合分析が手付かずになるのか。原因は3つに整理できます。
結果として、競合ページは見続けるが、自社ページは変わらない。気になっているのに動かない状態が、長く続きます。
やってみた:Claudeに何を渡し、どう指示したか
ここから本記事の核心です。実際にClaudeへ渡したもの、出した指示、返ってきたものを順に見ます。なお、以下のデータは説明のための デモ用の代表例 で、実在の競合企業・商品ではありません。
渡したデータ
集めたのは、同カテゴリで上位に並ぶ3商品の商品ページ本文テキストです。本記事では「競合A・競合B・競合C」と匿名化して扱います。商品ページに掲載されている 公開情報の範囲 にとどめ、手動でコピーして1つのテキストに集めました。スクレイピングや自動収集は使っていません。これは、各モールの利用規約と、競合への礼儀の両方の観点で守るべき線です。
出した指示(プロンプト例)
最初の指示は、次のようなものです。
添付の3社(A・B・C)の商品ページ本文を読み、次の4つの軸で比較し、 1つの表にまとめてください。 ・訴求軸(どんなベネフィットを前面に出しているか) ・価格の見せ方(割引・特典・送料の打ち出し方) ・FAQ(どんな不安に答えているか/無い場合は「無し」) ・レビュー強調点(どんなレビューを上に出しているか) 表の下に、3社に共通する傾向と、各社の独自性も併記してください。
ポイントは、「比較する軸」を曖昧にしないことです。「比較して」だけだとAIは何を比べるかから決めようとして、出力がぶれます。軸を4つ与えるだけで、出力の安定感が大きく変わります。
返ってきた表は、こんな形でした(デモ用の代表例)。
| 比較項目 | 競合A | 競合B | 競合C |
|---|---|---|---|
| 訴求軸 | 時短 | 高級感 | コスパ |
| 価格の見せ方 | セット割 | 定期割 | 初回限定 |
| FAQ | 配送中心 | 使用感中心 | サイズ中心 |
| レビュー強調 | 星評価 | 利用人数 | ビフォーアフター |
続けて、自社改善に繋げる2つ目の指示を出しました。
当社の商品ページ本文(添付)を、上の4軸で同じ表に並べてください。 そのうえで、「3社にあって自社に無い/弱い要素」をリスト化し、 それぞれ「改善の取り組みやすさ」「想定される効果」の2軸で 高/中/低 で評価してください。
ここまでで、「比較表」と「自社の不足要素・優先度リスト」の両方が手元に揃います。
検証:出力を、そのまま信じない
ここが必須の工程です。Claudeが整った表を返してきても、その内容をそのまま「改善方針」に直結させてはいけません。 実際に行った検証を3つ挙げます。
整理はAIが速くても、事実の確認と「採用するか」の判断は人の仕事です。この線引きそのものは、生成AIに任せていい仕事・任せてはいけない仕事で詳しく整理しています。
アフター:比較表が「自社改善のTODO」になる
検証を経て出来上がったのが、次のような流れです。
ビフォーとの違いは、終着点です。ビフォーは「気になる」で終わっていましたが、アフターは「改善TODO」まで降りています。AIが整えた比較表とリストを材料に、人が事実を確認し、優先順位を決める。そこまで来ると、競合ページを開いた時間が、初めて自社ページの改善時間に変わります。
なお、改善候補のうち「キャッチコピー」「商品説明」の文言改善は、別の生成プロセスに渡せます。具体的な進め方は商品ページのキャッチコピーをAIで量産する3つの型で扱っています。
結局、自分でやるには
同じ分析を自社でやるための、手順と注意点をまとめます。
業態別:どの軸を重く見るか
比較する4軸はどの業態でも有効ですが、「特にどの軸を重く見るか」は業態によって変わります。
同じ型番が複数モールに並ぶため、価格そのものよりポイント・送料・特典の組み合わせや、購入前の不安に答えられているかが、CVRを左右します。
同じ型番が他社に無いぶん、勝負は訴求とレビュー。なぜこの商品が必要か、どんな顧客がどう良いと言っているか——競合A・B・Cと比較しながら、自社の差別化軸を明確にします。
ブランドの世界観が売上に直結する型では、文字の比較表だけでは足りません。ページ構成(写真の量、見せ方の順序)まで人の目で観察し、AIの分析と組み合わせます。
業態によって、見るべき軸の重みは変わります。万能の比較軸はありません。
まとめ
競合の商品ページは、誰もが気になりながら誰も最後まで見ない領域でした。Claudeで4軸(訴求/価格/FAQ/レビュー)に整理すれば、半日かかっていた比較表が短時間で揃い、自社改善のTODOにまで降ろせます。
ただし、AIで競合に勝てるわけではありません。整理はAIが速い。事実の確認、強み・弱みの解釈、改善の優先順位——これらは人の仕事です。その役割分担を守れば、「気になるが動かない」状態から、「気になるから動く」状態へ変わります。
私たち Arke がデータとAIで取り組んでいるのも、競合との比較を「眺めて終わり」にせず、自社の在庫・販売・コンテンツの改善に繋げる支援です。手元の商品ページを、競合との関係のなかで磨き続ける——それが、長く続くEC事業の足腰になります。
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