EC運営でよくある状態です。古い商品説明文が並んだまま、新SKUの追加に追われ、季節キャンペーンの文言にも追いつかない。SKUが数百以上ある事業者なら、説明文の整え直しは「やりたいができない作業」の代表格でしょう。
本記事は、その商品説明文をClaudeで整え直してみた実録です。EC運営でClaudeにできること20選の項目01「商品説明文の作成・リライト」を、実際に手を動かして詳しく見ます。これまでデータ系のやってみた記事を扱ってきましたが、本記事はテキスト系——つまり 「ブランドの声に近い領域」 の話です。下書きはAIが速い。ただし、ブランドの声を仕上げるのは人が担い、薬機法・景表法の最終チェックも、人が責任を持って通す——この線引きは、最初から最後までぶれません。
- ビフォー:商品説明文のリライトが進まない3つの理由
- やってみた:Claudeに何を渡し、どう指示したか
- 検証:そのまま使わない3つのチェックポイント
- アフター:自社らしさを保ったまま、SKU横断で更新
- 結局、自分でやるには
- まとめ
ビフォー:商品説明文のリライトが進まない3つの理由
商品説明文の更新が進まないのは、3つの構造的な理由があります。
3つに共通するのは、「やる気の問題ではなく構造の問題」 ということです。だからこそ、構造を変える道具で取り組む価値があります。
やってみた:Claudeに何を渡し、どう指示したか
ここから本記事の核心です。なお、以下のデータはすべて説明のための デモ用の代表例 で、実在の商品・ブランドではありません。
渡した材料
用意したのは、4つの材料です。
② 自社のブランドガイドライン — 言い回しの方向性、トーンの指示(過去の代表的な説明文5〜10本から箇条書きで十分)。
③ NG表現リスト — 社内で禁止している言い回し(「世界一」「絶対」「必ず」「完全」「劇的」等)。
④ 商品の特徴と対象顧客のメモ — 素材・サイズ・使用シーン・想定顧客を簡潔に。
社外秘の情報や個人情報は渡していません。商品説明のリライトに必要なのは、公開予定の情報か、自社の表現基準・商品スペックだけです。
出した指示(プロンプト例)
最初の指示は、次のようなものです。
添付のブランドガイドラインとNG表現リストに沿って、 5つの商品説明文(既存)を整え直してください。 ・各説明文は◯文字以内 ・効能を断定する表現は避け、ベネフィット中心の言い回しに ・NG表現リストにある言葉は使わない ・対象顧客(添付のメモ参照)に向けた語り口で 1商品ずつ、Before(既存)→ After(下書き案)の形で並べてください。
ポイントは、「ブランドガイドラインとNGリストを渡す」「字数と語り口を指示する」「Before/After対比で出力させる」 の3点を最初に組み込むことです。曖昧な指示だと、AIは平均的な言い回しを返します。
特定の表現を避けたい場合の2つ目の指示も用意しました。
上の5つの説明文の中で、効能や効果を断定的に表す表現があれば、 ベネフィット中心の言い回しに書き換えてください。 医薬品的な印象を与える表現は避け、 生活上の利点や使用体験で記述してください。 書き換え前後の表現を、対比表で示してください。
出てきたもの
5つの商品説明文の下書きがBefore/After対比で返ってきました。1サンプルだけ、概略を示します。
「多機能」「便利」「おしゃれ」といった抽象表現が、対象顧客の生活シーンに寄り添う具体的な記述に変わっています。ここまでが、AIの仕事です。
検証:そのまま使わない3つのチェックポイント
Claudeの下書きが返ってきても、そのまま公開してはいけません。実際に行った検証を3つ挙げます。
下書きはAIが速い、ただし ブランドの声と法務、事実関係は人が握る。この線引きは、生成AIに任せていい仕事・任せてはいけない仕事で詳しく整理しています。
アフター:自社らしさを保ったまま、SKU横断で更新
検証を経て、運用は次の形に落ち着きました。
担当者は 「説明文を一から書く人」ではなく、「AIの下書きを、ブランドの声と法務で仕上げる人」 になります。100SKUの更新でも、1SKUあたり10分程度の仕上げ時間に圧縮できる例があります。
なお、商品ページの上部に置くキャッチコピーの量産は、別の生成プロセスに分けると効率的です。詳しくは商品ページのキャッチコピーをAIで量産する3つの型で扱っています。
結局、自分でやるには
同じことを自社でやるための、手順と注意点をまとめます。
② NG表現リスト:社内で禁止している言い回しをシンプルにリスト化。
③ プロンプト設計:本記事のプロンプト例を雛形に、自社の用語に置き換える。
④ 検証フロー:ブランドトーン・法務・事実関係の3点を、誰がチェックするかを決める。
業態別:どこから着手すべきか
業態によって、最初の一手は変わります。
同一カテゴリ内で言い回しを揃えると、AIの精度も上がり、ブランドの統一感も出ます。徐々にカテゴリを広げていくと安定します。
AIに渡せる形に言語化する過程そのものが、自社の声を再認識する作業になります。最初の数SKUは人の関与を厚めにし、トーンが安定したらSKU範囲を広げます。
商品スペック(素材・サイズ・原産国など)が複雑な型では、商品マスタとAI下書きを突き合わせるテンプレを用意するのがリスクを下げます。
まとめ
商品説明文のリライトは、Claudeで 「下書きまで」を任せ、ブランドの声と法務、事実関係を人が握る運用 にすると、SKU横断で進められるようになります。SKU数が多すぎる、ブランドトーンが崩れるのが怖い、法的チェックがネック——この3つの構造を、AIと人の役割分担で乗り越えるイメージ です。
ただし、AIで誰でも書けるわけではありません。ブランドガイドライン、NGリスト、検証フロー——この3点の整備が前提です。整備が薄いままAIに丸投げすると、平均的な言い回しが返ってきて、結局公開できないものができあがります。
私たち Arke がデータとAIで取り組んでいるのも、まさにこの 「下書きはAI、仕上げは人」の役割分担を運用に乗せる設計 です。SKUが多くて止まっていた更新作業を、ブランドを保ったまま動かすこと——それが、本記事のお伝えしたい価値です。
📊 在庫健康診断(60分・無料)
「自社の商品説明文を、ブランドを保ったまま整え直したい」「AI活用と在庫・コンテンツ運用の優先順位を相談したい」という方へ。Arke では、貴社の業務と商品情報をもとに、AIに任せられる領域の仕分けと、在庫最適化の余地を60分で診断する無料サービスをご提供しています。診断結果は、その場でレポート形式でお持ち帰りいただけます。
お問い合わせフォームへ →