Claude Codeを使い始めて最初に感じるのは、「毎回同じ説明をしている」という手間です。売上CSVの列名、自社のSKUの付け方、モールごとの呼び方——本題に入る前に、前提の説明で毎回5行使う。この前提を1回だけ書いて置いておくファイルが CLAUDE.md です。
置いておくだけで、以後の指示から前提の説明を省けます。本記事では、当社が実際に運用している中身をそのまま載せます。
(Claude Code自体の導入手順はClaude Code 使い方ガイドで解説しています)
CLAUDE.md とは何か
作業フォルダの直下に CLAUDE.md という名前のテキストファイルを置くと、Claude Codeはそのフォルダで作業を始めるときに中身を読みます。プログラムではなく、ただの文章です。書式のルールもほとんどありません。
役割は「作業を頼む相手に、最初に渡す業務メモ」に近いものです。新しく入った人に毎回口頭で説明していることを、文章にして置いておく、と考えると分かりやすいと思います。
何を書くと効果が出るか
書くべきなのは、説明しないとClaude Codeが間違える情報です。逆に、指示のたびに変わることは書きません。
| 書く | 書かない |
|---|---|
| 扱うデータの構造・列名の意味 | その日やってほしい作業の内容 |
| 社内でしか通じない略語・呼び方 | 一般的な用語の説明 |
| 出力してほしい形式(表・CSV・日本語) | 毎回変わる出力先ファイル名 |
| 触ってはいけないファイル・フォルダ | 一度きりの例外指示 |
判断に迷ったら、「同じことを3回以上説明したか」を基準にすると分かりやすいです。3回説明したなら、それはCLAUDE.mdに書くべき情報です。
実務での使用例:当社の在庫データ用 CLAUDE.md
当社がEC在庫データの集計作業で使っているものを、機密部分を伏せたうえでそのまま載せます。
# このフォルダについて
EC の受注・在庫データを集計する作業用フォルダです。
## データの前提
- `orders_*.csv` は受注データ。1行 = 1注文明細
- `mall` 列は販売チャネル。`a` = Amazon / `r` = 楽天 / `own` = 自社EC
- `sku` 列の先頭2文字はカテゴリコード
- 金額はすべて税抜・円
- `stock_*.csv` は在庫データ。毎朝6時時点のスナップショット
- `qty` は引当前の実在庫。予約分は含まない
## 社内の用語
- 「在庫日数」= 現在庫 ÷ 直近30日の1日平均出荷数
- 「滞留」= 在庫日数90日超のSKUを指す
## 出力のルール
- 回答・コメントは日本語で書く
- 集計結果は Markdown の表で出す。桁区切りのカンマを入れる
- グラフは作らない(別ツールで作成するため)
## 触らないもの
- `_raw/` 配下は原本。読むだけ。書き換え・移動をしない
- 認証情報は環境変数にあるため、ファイルに書き出さない
これを置く前は、「mallのaはAmazonです」「在庫日数はこう計算します」を毎回打っていました。置いた後は、「先月の滞留SKUを一覧にして」の一言で通ります。
書くときの3つのコツ
1. 短く始めて、間違えるたびに足す
最初から完璧に書こうとすると手が止まります。当社も最初は5行でした。使っていて「そこは違う」と思った瞬間に1行足す、という育て方が続きます。
2. 「してほしくないこと」を明示する
意外と効くのがこちらです。「原本フォルダは読むだけ」「グラフは作らない」のような禁止事項を書いておくと、余計な作業や事故が減ります。当社の場合、_raw/ を書き換えられて原本を失いかけたことがあり、その日にこの行を足しました。
3. 用語の定義を先に入れる
「滞留」「在庫日数」のような社内用語は、定義が会社ごとに違います。定義を書かないと、一般的な解釈で計算されて数字が合わなくなります。在庫日数の計算方法のように、自社がどの式を使っているかまで書いておくと安全です。
置く場所と適用範囲
CLAUDE.md は、作業を始めるフォルダの直下に置きます。プロジェクトごとにフォルダが分かれているなら、フォルダごとに別々の CLAUDE.md を置いたほうが精度が上がります。在庫集計用と、問い合わせ返信の下書き用では、必要な前提がまったく違うためです。
全プロジェクト共通のルール(「回答は日本語」など)を1か所にまとめる書き方もあります。仕様は更新されることがあるため、置き場所の詳細はAnthropicの公式ドキュメントで確認してください。
よくある質問
Q. CLAUDE.md を置くと動作が遅くなりませんか? 中身は毎回読み込まれるため、極端に長いと処理量を消費します。当社は100行程度を上限の目安にしています。長くなってきたら、使っていない項目を削るタイミングです(料金・利用枠の考え方も参考にしてください)。
Q. Excelしか使わないのですが、それでも必要ですか? 必要です。列の意味や社内用語の定義は、Excel業務の自動化でも同じように効きます。ファイル形式ではなく、「自社にしか通じない前提があるかどうか」で判断してください。
Q. チームで共有できますか? テキストファイルなので、フォルダごと共有すれば全員に同じ前提が適用されます。当社では、用語の定義が変わったときにCLAUDE.mdを直す運用にしており、結果として用語集としても機能しています。
まとめ
CLAUDE.md は、Claude Codeに自社の前提を1回だけ伝えておくためのテキストファイルです。データの構造・社内用語の定義・出力形式・触ってはいけない場所の4つを書いておけば、毎回の説明が不要になり、指示の精度も安定します。5行から始めて、間違えるたびに1行足す育て方をお勧めします。
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