Claude Code を業務に入れるとき、最初の壁になるのはエラーそのものより 「どこが原因か分からない」 ことです。英語のメッセージが出て手が止まる、日本語のCSVを渡したら文字が化ける——このあたりで止まってしまう方が多いと思います。

本記事では、当社がEC の受注・在庫データを扱う中で実際に遭遇した症状を、原因の切り分けと対処までセットでまとめます。

(導入手順そのものはClaude Code 使い方ガイドをご覧ください)

まず最初に:原因は3つのどれか

症状を見る前に、切り分けの枠を持っておくと早く終わります。Claude Code で出る問題は、ほぼこの3層のどれかです。

何が起きているか 見分け方
環境 インストール・認証・ネットワーク 起動した直後に出る。作業内容と無関係
データ 文字コード・列名・ファイル形式 特定のファイルを渡したときだけ出る
指示 前提が伝わっていない・作業量が多すぎる 動くが、結果が期待と違う

エラー文を読む前に「どの層か」を決めると、調べる範囲が3分の1になります。以下、層ごとに見ていきます。

環境まわりの症状

1. command not found: claude

インストールは終わったのに、コマンドが見つからない状態です。インストール先のパスがターミナルに認識されていないのが原因で、多くの場合はターミナルを一度閉じて開き直すだけで通ります。

それでも出る場合は、インストール時のログに出ている導入先を確認します。当社では、Node のバージョン管理ツールを切り替えた直後にこれが再発しました。ツールを入れ直した後は、まずターミナルの再起動を試すのが手数が少なくて済みます。

2. 認証を求められ続ける/セッションが切れる

ログイン画面が繰り返し出る場合、社内ネットワークのプロキシやセキュリティソフトが通信を遮っていることがあります。判断材料として、スマートフォンのテザリングなど別回線で試すと、回線の問題かどうかが一度で分かります。

別回線で通るなら、社内ネットワーク側の設定です。この場合は情報システム担当への確認が要ります。

3. 応答が途中で止まる/利用枠に関するメッセージが出る

一定量を使うと、プランごとの利用枠に達することがあります。枠と課金の考え方はClaude Code の料金・プランにまとめています。枠の仕様は改定されることがあるため、実際の上限はAnthropicの公式ページで確認してください。

データまわりの症状:ここが本題

EC事業者が最もつまずくのはこの層です。

4. 日本語CSVが文字化けする(最頻出)

症状: 商品名が「�」や見慣れない漢字の羅列になる。列名が読めない。

原因: 日本のモール・会計ソフトから出力したCSVは、多くが Shift_JIS(CP932) です。一方、標準的な読み込みは UTF-8 を前提にします。この不一致が文字化けの正体です。

対処: 推測させず、先に文字コードを伝えます。

このCSVはShift_JIS(cp932)です。それを前提に読み込んで、
最初の5行と列名の一覧だけ表示してください。

いきなり集計させず、まず5行だけ出させて目で確認するのが安全です。ここで化けていなければ、以降の集計は通ります。

化けたまま集計すると、エラーにならずに間違った集計結果が出てきます。これが最も危険な状態です。当社では、モール別集計で1カテゴリだけ件数が合わず、原因が文字化けした商品名の分類ミスだったことがありました。「エラーが出ない = 正しい」ではないと考えてください。

なお、そもそもの読み込み方法はCSV の売上集計を自動化するで手順にしています。

5. Excelで開いた瞬間に化ける/セルがずれる

出力したCSVをExcelで開いて化ける場合、化けているのはClaude Code側ではなくExcel側です。Excelは UTF-8 のCSVをダブルクリックで開くと、環境によって Shift_JIS と解釈します。

対処は2つ。出力時に「Excelで開くのでBOM付きUTF-8で保存して」と伝えるか、Excel側の「データ」タブから文字コードを指定して取り込むかです。前者のほうが手数が少なくて済みます。詳しい進め方はExcel業務の自動化にまとめています。

6. 列名が違う、と言われる

sku という列がありません」のようなメッセージです。モールによって列名が違う(商品コード / SKU / 管理番号)ことが原因で、ファイルを変えるたびに再発します。

その場で直すこともできますが、同じ説明を3回したら CLAUDE.md に書くのが結果的に早いです。列名の対応表を1回書いておけば、以後は指定なしで通ります。

指示まわりの症状

7. エラーは出ないが、結果が期待と違う

最も見つけにくい類型です。数字は出ているので、気づかずに使ってしまいます。

原因の多くは用語の定義のずれです。「在庫日数」ひとつとっても、分母を直近30日の平均出荷にするか、年間平均にするかで答えが変わります(在庫日数の3つの計算式を参照)。定義を伝えていなければ、一般的な解釈で計算されます。

確認の手順として、当社では次を毎回入れています。

  1. 全件を集計させる前に、1SKUだけ計算させる
  2. その1件を電卓で検算する
  3. 合ったら全件に広げる

3行で済みます。この検算を挟むかどうかが、AIの出力を業務に使えるかどうかの分かれ目だと考えています。

エラー文をそのまま貼るのが一番早い

最後に、身も蓋もない話をひとつ。エラーが出たら、その文面をそのまま貼り付けて「これは何が原因ですか」と聞くのが最短です。要約したり、翻訳したりしないでください。ファイル名や行番号が原因の特定に使われるためです。

そのうえで、「直して」ではなく「原因を先に説明して」と頼むと、修正の方向が正しいか自分で判断できます。

まとめ

Claude Code のつまずきは、環境・データ・指示の3層に分かれます。EC事業者が最も遭遇するのは日本語CSVの文字コード(Shift_JIS)で、これは読み込み前に文字コードを伝え、5行だけ表示させて目視確認することで防げます。エラーが出ないまま数字が間違う場合は用語定義のずれを疑い、1SKUで検算してから全件に広げてください。


当社では、この記事で触れた受注CSVの集計から在庫判定までを実際に動かしている様子を、工場・物流・EC の技術マップ上で動画にして公開しています。「自社のどの業務がAI化できるのか」を見て確かめたい方は、Arke Gallery(無料)をご覧ください。

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