「毎回同じ説明をしてからExcelの集計を頼んでいる」「担当者によってClaudeへの頼み方が違い、出てくる表の形がそろわない」。ClaudeでExcel作業を続けていると、こうした悩みが出てきます。
これを解決するのが Skills(スキル) です。この記事では、ClaudeのSkillsをExcel作業に使う方法に絞って、標準のExcelスキルでできることと、自社ルールを入れた自作スキルの作り方をまとめます。全体像は親ページのClaude で Excel を自動化する使い方をご覧ください。
当社はEC事業者向けの在庫最適化SaaSを開発・運営している会社で、在庫表や発注表の整形ルールをスキルにまとめて使っています。
Skills(スキル)とは
Skillsは、Anthropicが2025年10月16日に発表した機能です(出典: Anthropic公式リポジトリ anthropics/skillsほか。2025年12月18日には仕様がオープン標準として公開されています)。
中身は「手順書(SKILL.mdというファイル)と、必要ならスクリプトや参考資料を入れたフォルダ」です。Claudeは依頼内容を見て、関係するスキルだけを自動で読み込みます。 毎回プロンプトに長い説明を書かなくても、決めたルールどおりに作業してくれるようになります。
| 仕組み | 何を保存するか | 呼び出し方 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| プロジェクトの指示 | そのプロジェクト内の会話すべてに効く前提 | 自動(プロジェクト内で常に有効) | 会社の前提・口調をそろえる |
| コマンド(Claude Code) | 毎回同じ指示文 | 自分で1語を打って呼び出す | 決まった作業を自分のタイミングで実行する |
| スキル(本記事) | 手順・ルール・スクリプト・見本ファイル | 依頼内容に応じてClaudeが自動で読み込む | 手順が長い作業、複数人で同じ品質にそろえたい作業 |
コマンドの作り方はClaudeで自動化するコマンドの作り方にまとめています。「自分で呼ぶならコマンド、Claudeに判断させるならスキル」と覚えておくと迷いません。
標準のExcel(xlsx)スキルでできること
Anthropicは、Excel・Word・PowerPoint・PDFを扱う標準スキルを用意しています。Excel用のスキルは、数式・書式を含むブックの作成、既存ブックの編集、データ分析に対応しています。
claude.ai(ブラウザ版・デスクトップ版)でファイルを作らせたときに、数式が値ではなく数式のまま入っている、列幅や書式が整っている、といった動きは、この標準スキルが裏で使われているためです。標準スキルは自分で作る必要はなく、ファイル作成機能を有効にしていれば使われます。
使える機能・プランは変わることがあるため、最新の対応状況はAnthropicのヘルプセンターで確認してください。
自作スキルが必要になるのはどんなときか
標準スキルは「Excelをきれいに正しく作る」ためのもので、あなたの会社のルールは知りません。 次のような場面では自作スキルが効きます。
- 列の順番・シート名・日付の書式など、社内で決まった形がある
- 「SKUが空欄の行は除外」「送料は別列」など、毎回伝えている処理ルールがある
- 仕入先・モールごとにCSVの形が違い、変換手順が長い
- 担当者が変わっても同じ表が出てくるようにしたい
自作スキルの作り方(4ステップ)
ステップ1:毎回している説明を書き出す
直近でClaudeにExcel作業を頼んだ会話を見返し、毎回書いている説明を箇条書きにします。これがスキルの中身になります。
ステップ2:SKILL.mdを書く
スキルの本体は、フォルダの中に置く SKILL.md という1つのテキストファイルです。先頭に「名前」と「いつ使うか(説明)」を書き、その下に手順を書きます。
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name: zaiko-hyo-seikei
description: 楽天・Amazonの在庫CSVを社内の在庫表(Excel)に整形するときに使う
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# 在庫表の整形ルール
1. 列は「SKU・商品名・モール・在庫数・引当数・有効在庫」の順にする
2. 有効在庫は「在庫数−引当数」の数式で入れる(値にしない)
3. SKUが空欄の行は除外し、除外した件数を最後に報告する
4. 有効在庫が0以下の行は赤く塗る
5. シート名は「在庫_YYYYMMDD」にする
一番大事なのは description(いつ使うか)です。 Claudeはここを読んで、このスキルを使うかどうかを判断します。「Excelを扱うとき」のように広すぎると関係ない依頼でも読み込まれ、狭すぎると使われません。
ステップ3:見本ファイルやスクリプトを同じフォルダに入れる
完成形の見本となるExcel(ダミーデータ入り)や、変換用のスクリプトがあれば同じフォルダに入れ、SKILL.mdから「見本は同じフォルダのsample.xlsxを参照」と書いておきます。言葉で説明するより、見本を1つ置くほうがずれが少なくなります。
ステップ4:置き場所に入れて、実データで試す
- claude.ai: 設定画面のスキルの項目から、フォルダをzipにしてアップロードします(利用にはファイル作成・コード実行の機能を有効にする必要があります)
- Claude Code: 個人用は
~/.claude/skills/、プロジェクト共通にするならプロジェクト内の.claude/skills/にフォルダを置きます
置いたら、スキル名を出さずに「このCSVを在庫表にして」とだけ頼み、スキルが自動で使われたかを確認します。使われなければ、descriptionの書き方を見直します。
実務での使用例:モール別の在庫CSVを同じ在庫表にそろえる
当社の使い方をもとにしたモデルケースです。楽天とAmazonで在庫CSVの列名・並び・文字コードが違い、毎朝、担当者がClaudeに5〜6行の説明をしてから整形を頼んでいる状態を想定します。
やったことは4つです。
- 過去の依頼文を3回分見比べ、毎回書いている説明(列の順番・除外ルール・数式・色分け)を上のSKILL.mdの形にまとめる
- モールごとの列名の対応表を別ファイル(mapping.md)にして同じフォルダに入れ、SKILL.mdから参照する
- 完成形の見本(ダミーの5行だけ入った在庫表)を入れる
- 翌日から、担当者は「今朝の楽天CSVを在庫表にして」とだけ頼む運用に切り替える
ポイントは、新しい手順を考えたのではなく、すでに毎回説明していた内容をファイルに移しただけ、という点です。 担当者が替わっても、同じ列・同じ数式の表が出てくるようになります。
やっていないこともあります。発注数の判断そのものは、スキルに入れていません。 整形は毎回同じ正解がありますが、発注判断は季節やセールで変わるため、ルールを固定すると誤った発注を繰り返すおそれがあるからです。
ここまでの内容は、実際の画面で見るほうが早く掴めます。Arke Gallery(無料会員登録)から、工場・物流・ECの技術マップ上でAIの動きを動画で確認できます。
スキルにする作業・しない作業の見分け方
| 作業 | スキル化 | 理由 |
|---|---|---|
| CSVの整形・列の並べ替え・書式統一 | 向く | 正解が毎回同じで、手順を書き切れる |
| 月次集計表の作成(決まった形) | 向く | シート構成と数式を固定できる |
| 仕入先ごとの発注書の作成 | 向く | 見本ファイルを置けばずれが少ない |
| 発注数・販売価格の判断 | 向かない | 状況で答えが変わる。人が判断する |
| 一度きりの分析 | 向かない | 作る手間のほうが大きい。普通に頼めば足りる |
目安は、同じ説明を3回以上している作業です。
失敗パターン(つまずきやすい5つ)
- descriptionが広すぎる/曖昧: 「Excel作業に使う」だけだと、関係ない依頼でも読み込まれたり、逆に使われなかったりします。対象のファイル・場面を具体的に書きます
- 1つのスキルに何でも入れる: 在庫表・売上表・発注書を1つにまとめると手順が混ざります。作業ごとに分けます
- 数式を指定しない: 「有効在庫を出す」だけだと値で埋まることがあります。「数式で入れる」と明記します
- 本物の顧客データを見本に入れる: スキルは共有されることがあります。見本はダミーデータにします
- 試さずに配る: スキル名を出さずに頼んで、自動で使われるかを確かめてから他の担当者に渡します
よくある質問
Q. スキルとプロジェクトの指示は何が違いますか? プロジェクトの指示はそのプロジェクト内で常に効く前提です。スキルは、関係する依頼が来たときだけ読み込まれる手順書です。全社共通の前提はプロジェクト、作業ごとの細かい手順はスキル、と分けると整理しやすくなります。進め方の全体像はClaudeで自動化する方法にまとめています。
Q. Excelアドインでもスキルは使えますか? Excelアドイン(2026年5月7日一般提供開始)は、Excelの画面上でClaudeと対話しながら作業する経路です。スキルの対応状況は経路やプランによって異なり、変わることがあるため、Anthropicのヘルプセンターで確認してください。アドインの導入手順はClaude の Excel アドインでできることをご覧ください。
Q. プログラミングができなくてもスキルは作れますか? 作れます。SKILL.mdは普通の文章で書けます。スクリプトが必要な場合も、「この手順をスキルにして」とClaude自身に頼んで下書きを作らせ、中身を確認してから使う方法があります。
Q. スキルで作った表が文字化けします。 スキルの問題ではなく、元のCSVの文字コードが原因のことがほとんどです。直し方はClaudeとExcelで日本語が文字化けするときの直し方をご覧ください。スキルに「読み込み時に文字コードを確認する」と一文入れておくと再発を防げます。
まとめ:毎回の説明をファイルに移すのがスキル
ClaudeのSkillsは、毎回Claudeにしている説明を、手順書と見本ファイルにまとめておく仕組みです。Excelをきれいに作る部分は標準のExcelスキルに任せ、自社の列構成や除外ルールは自作スキルに入れる、という分け方にすると、担当者が替わっても同じ表が出てくるようになります。
次に読むなら、スキルに入れる表の設計の仕方はClaudeでExcelの表を新しく作成する方法、スキルで作った表を直す手順は既存のExcelファイルを編集する方法をご覧ください。
在庫表をClaudeで扱う全体の手順はClaudeで在庫管理をする手順にまとめています。
モール別の在庫表を毎朝整形し続けるのではなく、Amazon・楽天・自社ECの在庫と発注判断を毎日自動で揃える仕組みが必要になった場合は、当社が開発・運営するEC在庫最適化システム S-walletがあります。14日間無料トライアルからお試しいただけます。
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