「Excelの集計作業に、毎週何時間も取られている」という相談をよく受けます。ECモール別の売上を1つの表にまとめる、複数の担当者が作ったファイルを突き合わせる、といった作業です。この種の作業は、プログラミングができなくてもClaudeで自動化できます。

ただし、ClaudeでExcelを扱う道は1つではありません。「Excelを開いたまま相談する」道と、「ファイルをまとめて処理する」道の2つがあり、どちらを選ぶかで手順も向き不向きも変わります。ここを最初に間違えると、「思ったほど楽にならない」で終わります。

当社はEC事業者向けの在庫最適化SaaSを開発・運営している会社で、社内の売上集計・在庫突き合わせに実際にClaudeを使っています。この記事は、その2つの道の使い分けと、当社が実際に回している手順をまとめた入口のページです。


1. 用語の整理:Claude・Claude Code・Excelアドインは別物

同じ「Claude」でも、Excelに対してできることが違います。ここが混同されたまま検索されていることが多いので、先に切り分けます。

Claude(ブラウザ/デスクトップアプリ) Claude for Excel(Microsoft 365 アドイン) Claude Code
触り方 ファイルをアップロードして会話する Excelの作業ウィンドウに常駐し、開いているブックを直接見る ターミナルから、フォルダ単位で指示する
得意なこと 1ファイルの読み取り・要約・表の作り直し 既存ブックの計算の説明、数式を壊さない修正 複数ファイルの集計・突き合わせ・転記の一括処理
出力 新しいファイルとしてダウンロード シートにそのまま反映 新しいExcel/CSVをフォルダに出力
向く人 まず試したい人 Excelの中で完結させたい人 毎月同じ処理を繰り返している人
提供状況 無料プランを含む全プラン 2026年5月7日に一般提供開始(有料プラン向け。2025年10月にリサーチプレビュー、2026年1月24日にProプランへ拡大) 有料プラン/API従量課金

Claude for Excel の提供状況はAnthropicの公式告知に基づきます(2026-09-13時点で確認)。提供プランや対応アプリは変更されることがあるため、導入前に公式ページで最新の条件を確認してください。

2. どちらを使うかの判断基準

迷ったら、次の3つで決めてください。

  1. 対象は「1ファイル」か「フォルダ」か — 1ファイルを直しながら進めるならアドイン。複数ファイルをまとめるならClaude Code
  2. 既存の数式を残す必要があるか — 既存ブックの数式・書式を壊したくないならアドイン。ゼロから出力し直してよいならClaude Code
  3. その作業を毎月繰り返すか — 繰り返すならClaude Code。一度きりならアドイン、またはブラウザ版へのアップロード

「毎月繰り返す集計」だけがClaude Codeの対象と考えて差し支えありません。単発の相談ごとにターミナルを開く必要はありません。

3. 実務での使い方:当社が実際にやっている3つの例

ここからは、繰り返し処理側(Claude Code)の具体例です。いずれも当社が社内で実際に回しているものです。

例1: モール別売上表の統合

Amazon・楽天など、モールごとにダウンロードした売上CSVは列の並び・項目名がバラバラです。

Amazon、楽天、自社ECの3つの売上CSVを読み込んで、商品名・数量・金額の列を揃えて1つのExcelに統合して。モール名の列を追加して。

初回は列名の対応関係を確認しながら進みますが、CLAUDE.md(作業ルールを書いておくファイル)に一度フォーマットを書いておけば、翌月からは「先月と同じ形式で」だけで終わります。このファイルに何を書けばよいかはCLAUDE.md の書き方で、当社が実際に使っている中身をそのまま公開しています。

例2: 在庫表と販売実績表の突き合わせ

在庫管理でよくあるのが、「在庫表」と「販売実績表」を商品コードで突き合わせて、在庫日数や欠品リスクを出す作業です。

在庫一覧.xlsxと直近90日の販売実績.csvを商品コードで突き合わせて、在庫日数(在庫数÷1日あたり販売数)を計算し、90日を超える商品を金額の大きい順に並べたExcelを作って。

Excelの VLOOKUP や INDEX/MATCH を手で組む必要がありません。計算の考え方さえ言葉で伝えれば、実装はClaudeが行います。

例3: 複数人が作った申請書・報告書の転記チェック

担当者ごとにフォーマットが微妙に異なるExcelの申請書を、決まった様式に転記し直す作業も自動化できます。

このフォルダにある申請書10件を読んで、日付・金額・担当者名を抜き出し、集計用テンプレートに1行ずつ転記して。金額の桁が明らかにおかしいものは別シートに警告として出して。

「転記ミスがないか人が目視で確認する」から、「怪しい行だけ人が確認する」に変わるのが、この使い方の効果です。


こうしたAI活用の実例は、工場・物流・ECの技術マップ上で1分の動画にして公開しています。文章より先に動いている画面を見たい場合は、Arke Gallery(無料会員登録)からどうぞ。


4. 手順:最初の1本を自動化するまで

  1. 使う道を決める(第2章の3つの基準。繰り返し処理ならClaude Code、単発ならアドイン)
  2. Claude Codeを使う場合はインストールする(手順はClaude Code 使い方ガイド参照)
  3. 対象のExcel・CSVファイルを1つのフォルダにまとめる
  4. 「何を・どこから・どんな形式で出すか」を1文で指示する
  5. 出力結果を目視で検算する(最初の数回はここを省略しない)
  6. 問題なければ、同じ指示を「先月と同じで」のように短縮して再利用する

5. 失敗パターン:先に知っておくと避けられる4つ

6. さらに詳しい手順(関連記事)

このページは入口です。それぞれの作業は、個別の記事に手順を分けて書いています。

7. よくある質問

Q. ExcelアドインとClaude Code、どちらから始めればいいですか? 開いているブックについて相談したいだけならアドインです。毎月繰り返している集計を置き換えたいならClaude Codeです。両方を併用しても問題ありません。

Q. VBAが書けなくても使えますか? 使えます。VBAや関数の知識は不要です。日本語で「何をしたいか」を伝えれば、実装(コードやスクリプト)はClaude側が行います。

Q. 大きなファイル(数万行)でも動きますか? 行数が多い場合も動きますが、処理に時間がかかることがあります。まずは1ヶ月分など小さい範囲で試し、精度を確認してから対象を広げることを勧めます。

Q. Excelファイルを読み込ませるとき、シートが複数あっても大丈夫ですか? 複数シートのブックも読み取れます。ただし「どのシートのどの範囲を使うか」を指示に含めたほうが精度が安定します。

Q. 料金はいくらですか? Anthropicの有料プラン、またはAPI従量課金が必要です。最新の料金はAnthropicの公式料金ページで確認してください。

Q. 会社の売上データを扱っても大丈夫ですか? Anthropicの商用プランでは、送信データが既定でモデル学習に使われない設定が提供されています。ただし、顧客の個人情報や認証情報を扱うファイルは対象から外す運用ルールを先に決めることを勧めます。

8. まとめ:集計を「1つだけ」置き換えることから

Excel業務の自動化は、全部を一気に置き換える必要はありません。毎週・毎月繰り返している集計を1つだけ選び、そこから置き換えるのが失敗しない進め方です。慣れてきたら、突き合わせ・転記・レポート作成へと対象を広げてください。


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